ノリフダをつくった話
1歳の子どもと、いつもの散歩を少しだけ変える山札。2026年9月
同じ道、同じおもちゃ
うちの子は1歳で、まだ話しません。散歩はいつも同じ道で、家では同じおもちゃ。子どもは毎日新しいことを見つけているのかもしれませんが、親のほうはマンネリになってきます。飽きたわけではないのに、同じ一日の繰り返しに手が慣れてしまう。雨の日の午後や、相方に少し休んでもらいたい休日に、「さて何をしようか」と手が止まります。
子育ての遊びのアイデアは、探せば山ほどあります。でも、探して選んで準備するのは面倒で、結局いつもの散歩に出てしまう。欲しかったのは「面白い遊びの一覧」ではなく、選ばなくていい仕組みでした。
一枚ひくと、今日の一手が決まる
ノリフダは53枚の札です。ボタンを押すと一枚が出て、それが今日の一手になります。文は言い切りで、疑問形も提案形も使いません。
近所で、丸いものを
いつも降りる駅の一つ先で
親が子どもの頃によく
ピンとこなければ、もう一度ひきます。回数の制限はなく、何回ひいたかも表示しません。ひいた札は画像で保存できるので、やった日に写真と並べて残せます。
山札の構造は、ボードゲーム『これから私たちは、』から学びました。札を全部知ったうえで一枚をひく、という形がとても良かったのです。文言は借りていません。
180枚を、一枚ずつ落とした
最初に作った札は180枚ありました。家の中の5分でできるものから、半日かけて出かけるものまで。それを一枚ずつ、自分が親としてやりたいかどうかで判定しました。残ったのは30枚ほどで、あとから足した札を含めて53枚になりました。
落ちた札の理由は、ほとんどが二つに集まりました。「簡単で短すぎて、負担にしかならない」と、「ひく前から結果が分かっている」です。ぬいぐるみを冷蔵庫の上からのぞかせる札は、二秒で終わって何も起きません。壁の日なたと日かげを触る札は、触る前から答えが分かっています。
残った札には、共通の形がありました。
- 子どもがその間に何かをする。歩く、触る、つかむ、運ばれる。じっとする、数える、は求めない。
- 親が、ひく前に答えを知らない問いがある。何が見つかるか、子どもが何を選ぶか。
- いつもの行為の上に乗っている。散歩、買い物、帰り道、乗り物。札のために新しく出かけない。
- 答えが親の行動を変える。子どもが選んだもので親の飲み物が決まる、子どもの反応で次にやるかが決まる。
- 終わりが楽しいことで閉じる。「帰る」で終わらせない。
- 外れても困らない。潰れる物を持たせない、他人の行動に頼らない、真似されて困ることをさせない。
この条件で見ると、通る札は「親がまだ答えを知らない問い」だと言えます。子どもの反応は、親にとっての答えのひとつになります。
時間で分けるのをやめた
途中まで、札を「いま(5分)」「ちょっと(30分)」「たっぷり(1時間)」の三層に分けていました。一枚ずつ判定してみると、5分の札はほとんど残りませんでした。残った札を分けていたのは時間ではなく、探す型か、子どもが決める型か、親が自分の記憶や好みを持ち出す型か、という「型」でした。層は撤廃して、全部を混ぜて一枚ひく形にしています。今できない札が出るのも、次にひく理由になると考えています。
名前
ノリフダの「ノリ」は、ノリがいい、のノリです。「フダ」は札。ノリでひいて、ノリでやる。動詞は「フダる」。「今日フダった?」と言えるように、動詞になる名前を探しました。
どう作っているか
文章の下書きや実装はAIエージェント(Codex と Claude Code)に任せ、親である私は判断だけをしています。札を残すか落とすかは、すべて自分の手で決めました。子どもの反応をAIに想像させることはしていません。判断の記録は一つずつ番号を付けて残しています。
これから
ノリフダはまだ、自分の家庭で使い始める前の段階にあります。子どもがどう反応するかは、これから観察します。続けたくなるか、親二人で使えるか、を見てから次を決めるつもりです。
もしひいてみて、やってみたら、#ノリフダ で見せていただけると嬉しいです。
この文章に書いた「残った条件」は、作者一人の判定から読み取ったもので、他の家庭で同じように楽しいかはまだ確かめていません。